頭金を払った方が良いかどうかは、人によって様々です。
頭金の有無での、メリット・デメリットや必要な初期費用の抑えておくべきポイントを解説します。
(1)頭金と初期費用はいくら必要
マンション購入に際して、よく出てくるキーワードに「頭金」と「初期費用」があり、
それぞれ意味が異なりますので、まずその意味と内容を最初に簡単に説明します。
頭金とは、「ローン等の分割払いを用いずに、最初に購入費の一部を現金にて支払う」その金額を言います。※費用ではありません
一方、初期費用とは、「契約の成立から、融資金額が入金されるまでに、現金で準備する必要のある費用」を意味しています。
一般に頭金は 住宅費用の2割程度が望ましい(例えば3000万円の物件でしたら600万円)とされることが多いのですがここでは、購入予定の方の状況によって、実際いくら必要か含め、あとで詳しく解説します。
次の初期費用は、一般に以下の費用が必要です。
物件価格×7%が目安です
①売買契約の費用
仲介手数料などの、売り主と不動産業者に支払う費用
②ローン関連の費用
保証料や事務手数料、印紙税、火災保険料など
③その他の費用
引っ越し費用や家具・家電品の購入費用
手付金は100万円程度とされます。初期費用はざっくり210万円程度は準備が必要です。
手付金は戻ってくる性質なのであくまで初期費用分の210万前後の用意だけでも購入は可能です。
昨今では、頭金なしでのマンション購入を行う住宅購入者も多く、本当に頭金なしで購入可能なのかどうか、初期費用はどうか等、次に詳しく説明します。
(2)頭金を払う、払わないの決め方
まず、頭金の有無での、各々のメリットとデメリットを観ていきましょう。
<頭金ありの場合>
「メリット」
・月額の返済額を減らす、もしくは返済期間を減らせる。
・住宅ローンの金利が優遇される場合あり。
・住宅ローン審査で落とされにくい。
「デメリット」
・頭金貯金の間の賃貸費用負担が必要。
・頭金分の貯金が減る。
<頭金なしの場合>
「メリット」
・頭金なしの為、貯金が減らない。
・即座に住宅購入可能。
「デメリット」
・住宅ローンの金利が高くなる場合あり。
・月額の返済額や返済期間が増える。
頭金を支払った方が その後の毎月の返済額は減ります。
もちろん後々に返済できなくなるリスクは下がるのですが、頭金を貯金している間に、もし高額の賃貸物件に入居していた場合には、その分の費用が増えるなど、結局のところ、購入者の事情によっては、即座に購入した方が良い場合もあるのです。
各々の人生設計と現在の置かれている状況を鑑みて、頭金の有無を決めましょう。
①頭金を収めた方が良い場合
今後、子育てや転職での減収など毎月の出費を抑えた方が良い事が解っている場合は、
頭金を貯金してから住宅購入することを推奨します。
今すぐ購入することで、毎月の家計が余裕なくなる状況であれば、頭金を増やし、
住宅費を抑制して月々の出費を軽くするようにしましょう。
頭金があることで、住宅ローンの金利優遇や審査で落とされにくいなどの好条件も期待できますので、ローン返済額を抑えたい方は、頭金は用意しておくことをすすめます。
<毎月の出費や総支払額を減らしたい>
ここで頭金の有無で。どの程度毎月の返済額と総支払額に差分が生じるか
計算してみましょう。計算を分かりやすくするために、賞与払いなし、初期費用なしとしています。
賞与払いなしの場合
前提条件:3000万円 借入 金利1% 返済35年
月毎の支払額に1.7万円、総支払額に112万円の差額が生じます。
このように月毎の支払額と総支払額を低くすることが、頭金によって可能なのです。
②頭金なしの方が好ましい場合
ローン返済額を抑えるには頭金は必要ですが、住宅購入予定の方の全員が、頭金を支払う事が、
得策という訳ではありません。以下、頭金なしの方が良い場合を考えてみましょう。
<現在の家賃負担多い>
頭金が手元になく、頭金を貯金している間に住んでいる住居にかかる家賃が、頭金を払った場合に抑えられる金額よりも多くなってしまっては、本末転倒です。
頭金を払う為に他のローンを組む必要がある場合も同様です。
<住宅ローン控除を最大限に活用したい>
今現在受けることのできる、税金の住宅ローン控除やローンの低金利の恩恵を、機を逃さず活用するという選択肢もあります。
この場合、税金の控除期間である10年間が終了、もしくは変動金利の方は金利上昇次第、まとまった分の繰り上げ返済を行うことで、ローン利息の圧縮が可能になります。
(3)頭金の額の決め方
ここまでの検討で頭金ありの方がよい方にとっては、どのくらいの金額を頭金にあてるとよいのでしょうか?
この時のポイントは、「毎月の返済額の希望」と、「貯金を手元にどのくらい置いておきたいか」です。
①「毎月の返済額の希望」から決める
以下の事例を考えます。
借入額 3,000万円 金利 1.00% 返済期間 35年
前提条件:賞与払いなし
毎月の返済額を以下2つの場合で考えます。
必要な頭金=借入金額-借入残高 です
<7万円>
521万円=3000万円-2479万円
<8.5万円>
0円(不要)=3000万円-3011万円
となります。
②「貯金を手元にどのくらい置いておきたいか」から決める
一般的に、半年間の生活費が不測の事態への蓄えといわれています。
毎月の生活費が40万円の家庭の場合、240万円程度の貯金は手元に残しておきましょう。
その他の将来必要な費用、例えば子供の学費等も考慮必要です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここまでのマンション購入の頭金に対する解説をまとめると
1) 毎月の返済額や総支払額を抑えたい場合、頭金を用意する。
2) 現在の家賃が高い場合は即購入し、頭金なしの方が得策なこともある。
3) 頭金は、月毎の返済の希望額と希望の貯金額から導き、決める。
各々の置かれている状況と今後の人生設計においては、この通りにならない場合もあると思います。
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