「妻の方が稼ぎがよいのだけれど、妻名義でマンション購入の住宅ローンって借りられるのだろうか…。 メリットや何か気を付けなくてならないことがわかると嬉しいのだけど。」
注意すべき点もあり、特にマンションの名義に関しては、夫婦で良く相談すべき問題です。
(1)はじめに
あなたは、「女性は住宅ローンを活用しづらいのでは?」とは思っていないでしょうか?
住宅ローンは、男性でないと厳しいという感覚をお持ちの方もいるようです。
ここでは、ローン審査に性別が与える影響をデータベースで見てみましょう。
金融機関が住宅ローンで考慮する審査項目(単位%)
出典:平成30年度 国土交通省 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書からの抜粋
上記データからわかるように、融資の際の考慮項目では、性別や家族構成については
実際は非常に少ない状況であることがわかります。
昔は、独身女性は結婚・出産などのタイミングで退職という場合も多く、住宅ローンの審査には通りにくかった事実はあったかもしれません。
現在はその影響は少ないという客観的なデータですが、考慮する銀行がないわけではありませんので、ローン審査の前に、良く確認することが大切です。
(2)妻名義の可能性とメリット
次にマンション購入の住宅ローンの名義人が妻名義のメリットについて述べます。
最近では、女性の社会進出に伴い、女性向けと名打った住宅ローンも増加傾向にあります。
優遇される条件は多様であり、例えば
①産後に優遇される住宅ローン
②未成年の子どもがいると優遇される住宅ローン
③家事代行や病児保育サービス付帯住宅ローン
など、様々なものがあります。そういう女性向けローンの活用は、妻名義の利点です。
またもう一つのメリットとしては、購入後すぐのメリットではないですが、将来、相続対策になることが挙げられます。
お互い高齢になった際、平均寿命が長い女性がマンション名義を持っていると、男性(夫)の
相続資産が減ることになります。
ただし、先に述べたように今でも性別や、女性の出産での産休や育児休暇などを考慮する銀行が
ないわけではありませんのでローン審査を申し込む前に良く確認した方が良いでしょう。
(3) 共有名義の可能性
マンション購入に限らず一般に不動産を購入した場合、その名義の登記については「単独名義」と「共有名義」の2種類があります。
単独名義とは、文字通り購入した人1人の名義で登記することであり、一方で、共有名義は
共同出資の割合に応じた持ち分にて、登記をすることを言います。
例えば4000万円のローンを夫が3000万 妻が1000万で負担の場合、75%の持ち分が夫、妻が残り25%の持ち分で各々登記となるわけです。
共有名義のメリット・デメリットについて、以下で説明します。
①メリット1:夫婦各々で住宅ローン控除可能
夫婦でマイホームを購入した場合において、共有名義で登記をすると、夫婦各々の収入に対し、住宅ローン控除の適用を受けることができ、所得税と住民税のTotalの減税額を、増やすことが可能です。
ただし、この場合別々にローンを組む、もしくは連帯債務者である必要があり、連帯保証人では、妻の住宅ローン控除を適用されませんので、御注意ください。
②メリット2:相続税の節税
各々の持ち分が課税対象となる為に、単独名義よりも相続税が節税できます。
一事例ですが、夫に先立たれた妻が負担する相続税は共有名義にすることで、単独の場合よりも、節税可能というわけです。
しかしながら、共有名義にすると以下で説明のデメリットもあり注意が必要です。
①デメリット1:売却が困難
共有名義の不動産売却には、全員の同意が必要であり、最も問題となりやすいのは 離婚時の「財産分与」の時です。
例えば、共有名義人である夫が売却を拒否した場合、妻は不動産を売ることはできません。
また、金融機関に対する連絡と承諾が、単独名義変更時には必要になり住宅ローンを、一人で負担することになる可能性もあります。
②デメリット2:相続の複雑さ
共有名義人の一方が死亡して相続が発生した場合、相続人が複数の場合、2人の共有名義だけでなく、3人、4人と増えていく可能性があります。
一般に不動産の共有者が増えると、売却をする際などに共有者全員の総意が、得にくい状況になる可能性があり、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事では、妻名義に関するマンション購入の可能性について、詳細を説明してきました。
マンション購入での妻名義や共有名義という選択肢は、後々の財産分与にも大きく絡みますので、
単純に性別云々というよりは、現在の家族の置かれている状況を鑑みて、夫婦でどうするのが 一番良いのかを、良く話し合うことが非常に大切です。
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