住宅の借入ができるのは、原則建物が完成した後になります。
しかし、注文住宅の場合、それまでに建築会社へまとまった金額を支払う必要があり、手持ちの資金が足りないことも…。
今回はそんな状況に役立つ、分割融資についての解説です。
注文住宅の必要資金を賄う!住宅ローン【分割融資】とは?
持ち家を持つなら注文住宅がいい!という人は多いです。
以下の調査では、持ち家を検討している人の56.6%が注文住宅を希望しています。
出典::株式会社リクルート住まいカンパニー 住宅購入・建築検討者調査
そんな注文住宅を選択する理由は、自由にデザインできる点や、性能の高い長く住める家を建てられることですね。
注文住宅を選択する理由で最も多いのは、住宅のデザインが気に入ったこと。床や壁の素材、外観の色、間取りなどを自由に設定できることは、注文住宅の醍醐味です。
また、自然災害の多い日本では、住宅の強度も重要。お金をかけてでも耐震性のある家に住みたい人は多いです。
人気の高い注文住宅ですが、その分費用もかかります。以下のデータは、住宅購入者の所要資金です。
建売住宅よりも、自由にデザインできる土地付注文住宅の方が、平均所要資金は高めになります。
冒頭で解説した通り、注文住宅を購入するにはまとまったお金を支払うタイミングが複数回ありますが、原則、融資実行は建物完成後です。
そこで利用したいのは分割融資という、分割して借り入れる方法。
まずは、土地付注文住宅を購入するまでの流れを解説していきます。建物引渡しまでの流れは以下の通りです。
必要な費用:①③手付金 ②⑥残金決済 ④着手金 ⑤中間金
まとまった金額は太字の部分で必要になります。
建物完成前に上記のようなまとまったお金が必要ですが、住宅ローンの融資を受けられるのは建物完成後。その理由は、銀行は土地と建物を担保に審査するためです。
建物が完成していなければ、価値を評価することが難しいからですね。
分割融資とは?
この融資は、注文住宅で建物ができる前に融資額を分割してもらうことです。融資額を分割するため、金利はそのままになります。
分割融資を受けるタイミングは数回に分かれますが、返済はそれぞれの融資を受ける度に始まるイメージです。
注意点は以下2点です。
・融資の回数が複数のため、手数料もかかる
・住宅完成前のため、登録免許税の軽減税率は適用されない
住宅ローンの資金を借入れる時、銀行は住宅に対して抵当権を設定し、将来契約者が返済できなかった時に競売にかける権利を持ちます。
この抵当権を設定する時にかかる登録免許税は、通常軽減税率(0.4%→0.1%)が適用されますが、住宅完成前の場合は適用外。
また、建物ができる前に融資を行うことは銀行にとってリスクがあります。そのため、資金が十分でない場合、優遇金利が適用されない可能性もあるので要注意。
住宅ローンの必要資金を賄う分割融資が難しい場合がある?
つなぎ融資は、住宅ローンを借り入れるまでに、必要な融資を受けられるものです。各ローンのイメージは以下の通りになります。
上記の通り、一つのローンを分割するのか、別のローンを組むのかが違います。
また、つなぎローンは建物ができる前の融資のため無担保になり、金利も高めです。金利基準は各金融機関で異なりますが、楽天銀行の場合、基準金利2.63%(2020年10月時点)になります。
以下は金利2.63%の楽天銀行でつなぎ融資を受けた場合の、利息を計算したものです。
1回目:振込額 29,500,905円
計算式 3,000万×2.63%÷365日×180日=389,095円(利息)
3,000万ー(11万+389,095円)
2回目:振込額 9,913,535円
計算式 1,000万×2.63%÷365日×120日=86,465円(利息)
1,000万ー86,465円
3回目:振込額 9,956,768円
計算式 1,000万×2.63%÷365日×60日=43,232円(利息)
1,000万ー43,232円
合計振込額:49,371,208円 利息:518,792円
金利2.63%、融資額5,000万のつなぎ融資を6ヶ月間受けた場合、利息は1日あたり2,882円。
金利が高いため、できれば分割融資を利用したいところですが、資金が十分でない人の場合、つなぎ融資になります。
その理由は、分割融資は土地の評価分しか融資が受けられない可能性があるからです。前章で解説した住宅購入までの流れの通り、土地代金決済から建物ができるまでに一定の資金が必要になります。
既に土地があって土地の代金決済が必要ない人など、代金を支払う余裕がある人は分割融資がお得。
注文住宅を検討中の人は、事前に見積もりで何にいくらかかるのかを把握し、必要に応じて各融資を利用しましょう。
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