「持ち家と賃貸の大きな違いは何だろう?」
持ち家と賃貸は、同じ住宅でもお金の使い道が違うため、単純に比較することは難しいです。比較する時は、それぞれの良いところや悪いところを把握して、あなたに合った住み方はどちらか考えましょう。
今回は、持ち家と賃貸の違いを「自由度・負担・お金」の観点から解説します。
持ち家と賃貸の割合は?【自由度と負担】に注目して違いを解説
持ち家と賃貸の違いを解説する前に、そもそも日本ではどちらが主流なのでしょうか。以下のグラフで解説します。
出典:住宅・土地統計調査
上記の総務省の調査によると、2018年の持ち家と賃貸では持ち家が多く、61.2%です。日本全体では持ち家が多数派ですが、住宅の購入は数千万の大きな買い物。
多数派だから自分も持ち家にしようと気軽には考えられませんよね。
今回は、持ち家と賃貸の以下3つの違いについて解説していきます。
①引越し・リフォームの自由度の違い
②自分の所有物かどうかで負担が違う
③金銭面での違い
①引越し・リフォームの自由度の違い
持ち家と賃貸の自由度の大きな違いは、引越しの気軽さとリフォームの自由度。
まずは引越しの気軽さですが、気軽に引越できるのは賃貸です。持ち家は長くて35年の住宅ローンの返済期間があり、返済期間中は気軽に引越しできません。
賃貸の場合、
・新しい家族が生まれた時
・転勤になった時
・昇進して収入が上がった時
・子供が独立した時
・最新設備の住居に住みたい時
など生活スタイル、収入、希望に合わせて自由に引越しをすることができます。
また、近所付き合いがうまくいかなくなった時なども、引越しをすればトラブル解消可能です。
一方で、自由度が高いのは持ち家になります。壁紙を好みに張り替えたり、将来的にバリアフリーにして住みやすくすることも自由自在です。賃貸は自分の所有物ではないので、勝手に改装することはできません。
②自分の所有物かどうかで負担が違う
持ち家と賃貸の大きな違いは、自分の所有物かどうかです。自分の所有物かどうかの違いは、災害時の負担に大きく関わります。
賃貸が自分の所有物でないことの良い点は、住居の修繕や管理を所有者に任せることができる点です。特に日本では大きな地震や水害が多いですが、自然災害で住居が損壊した場合も修繕の責任は所有者です。
一方で持ち家が自分の所有物である場合、保険で全額カバーできれば良いですが、状況によっては災害の負担は自分で背負うことになります。
しかし、近年では住宅に質の良さが求められ、長く住める高性能で丈夫な家が増えており、そういった家は住宅ローンの金利が低くなる場合もあります。
以下のデータは、住宅金融支援機構が調査した、住宅ローン利用予定者が住宅取得時に特に重視するものの上位を抜粋したものです。
住宅取得時に特に重視するもの(3つまで回答可)(全17項目)
価格・費用 74.2%
間取り 34.7%
立地(災害などに対する安全性) 32.7%
耐震性能 26.3%
耐久性 16.2%
省エネ性能 14.5%
出典:住宅ローン利用予定者調査
最も多くの人が重視するのは価格・費用で、その次が間取りです。しかし、それ以降の上位項目は全て住宅の安全性や性能に関する項目。
それだけ持ち家の購入を検討する人が、高性能な住宅を求めていることがわかります。
持ち家は賃貸に比べて、自分の所有物なだけに災害時の負担が大きいです。そのため、購入の際は、耐震強度や住宅の性能も考慮することをおすすめします。
持ち家と賃貸のお金の違い【金銭的負担と資産価値】
持ち家と賃貸の3つ目の違いは金銭的な負担と資産形成できるかどうかです。
持ち家にあって賃貸にない金銭的な違いは、住宅ローンと固定資産税の負担になります。
住宅ローンを組む場合、人によっては35年の住宅ローンの返済をするため、返済額によっては大きな負担です。
ただ、住宅ローンを完済してしまえば完済後の居住費はほとんどかからず、住むところがある安心感があります。
賃貸の場合は、収入が減ったとしても生きている限り同じ額の賃料が発生します。高齢になり年金生活になれば、入居や更新を断られる可能性も。
そのため、近年では単身の人でも持ち家を取得する傾向にあります。
以下のデータは、高齢単身世帯数の持ち家と借家数をあらわしています。
出典:住宅・土地統計調査
持ち家を買うタイミングというと結婚や出産ですが、高齢単身者世帯の借家の割合は減少傾向。
マイホームは家族のためのものだけでなく、将来の自分のためのものと考えている人が増えていると推測できます。
現役時代に負担をかけて将来の準備をするか、現役時代の負担を抑えて将来に負担を残すかが、持ち家と賃貸の負担の違いです。
また、賃貸の家賃はいくら支払ってもただの出費ですが、持ち家の住宅ローンは資産形成をしていくことになります。
ただし、資産価値のある住宅を希望する場合は、先ほど解説した省エネ性能・耐震性能の高い住宅や駅の近くのマンションなど立地条件の良い物件をおすすめします。
理由は、中古物件の資産価値は大きく減少する可能性があるからです。
以下のグラフは、中古マンションと木造戸建て住宅の資産価値推移をあらわしたものです。
出典:リフォーム市場の現状
特に木造戸建ては資産価値の減少が激しいことがわかります。
売却をしたい時に価値が下がりすぎた場合、持ち家は負の資産にもなり得ることも覚えておいてくださいね。
今回は、持ち家と賃貸の「自由度・負担・お金」の違いについて解説しました。それぞれの特徴をふまえて、あなたに合った住み方を検討しましょう。
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