平成30年度の国民の平均給与年収は、男女平均値が440.7万円ですが、この年収400万円台の方が、どのくらい価格のマイホーム物件を購入できるのでしょうか。
本記事では、年収400万の方を前提とした場合の、借入可能金額からのマイホーム選びについて、金利別の返済事例等、以下詳細を解説します。
年収400万円の方のマイホーム選びで返済できる金額
まず平成28~30年度の国民の平均給与年収を、国税庁のホームページから抜粋したデータを見てみましょう。
コロナ禍の影響を受ける前の年度ということもあり、男女ともに堅調に給与年収は増加傾向にあり、直近の平成30年度の国民の平均給与年収は 男性が545万円、女性が293.1万円であり、平均年収は440.7万円であることがわかります。
平成30年分 民間給与実態統計調査結果(平均給与年収)
出典:国税庁ホームページより
これから、マイホームを購入しようと考えている比較的若い世代の方は、この平均年収よりも若干低い方も多いでしょうから、本記事では一般的な国民平均年収を400万円と仮定して、この年収400万円の方がマイホーム選びを実施する際の物件価格の紹介と解説を行います。
次に総務省の「家計調査」から 年収400万円世帯の住宅ローンの返済の妥当な金額を見てみましょう。
総務省「2019年 家計調査(家計収支編)」によれば、世帯人数別の消費支出は次の通りです。
2019年 世帯人数別の消費支出の平均額(住居費用を含めず)
出典:総務省ホームページより
ここで、例えば住宅ローンを6万円/月ずつ支払うと仮定すると、夫婦二人に子供一人の三人世帯の場合 約413万円が赤字にならない平均の年収金額となります。
つまり年収400万円世帯のマイホーム購入の毎月の支払える住宅ローンは、平均的な消費収支金額から算出すると、月額6万円台ということになります。
また、これとは違う見方として、「返済負担率」という指標があります。
ここでの返済負担率とは、収入に対してどの程度の割合を住宅ローン返済にあてているかの比率を意味しています。
この返済負担率は、住宅ローン審査でも重視される項目の一つとされています。
前述の、総務省家計調査データからは、年収400万円の平均額として勤め先の収入金額は28万円であり、住宅ローンの月額返済額は6.4万円となっています。
つまり世帯年収400万の方のサンプリング平均額データにおいては、国民平均では、収入の23%(返済負担率)を住宅ローンに回しているという結果になっています。
ちなみに返済負担率は、年収の低い方ほど高く、年収の高い方ほど低い傾向が、この家計調査からわかります。
<年収400万の場合>
住宅ローン月額の返済額=年収400万円x 返済負担率23%=92万円
これを12ケ月で割ると賞与の返済無しで約7万7000円が、目安ということがわかりました。
(2)金利別詳細シミュレーション
先に述べた返済負担率ですが、金融機関の審査が通る返済負担率は、一般に30%以内が目安とされています。
ここで、先程の平均的な返済負担率23%、審査は通るが負担は増える返済負担率30%で、 固定金利と変動金利に分けて、詳細シミュレーションをしてみましょう。
<固定金利:2% Version>
金利=2.0%(固定)
月額住宅ローン返済額=7万7000円(返済負担率23%)
返済期間35年の場合の借り入れ可能額=2324万円
返済期間30年の場合の借り入れ可能額=2086万円
月額住宅ローン返済額=10万円(返済負担率30%)
返済期間35年の場合の借り入れ可能額=3018万円
返済期間30年の場合の借り入れ可能額=2705万円
<変動金利:0.5% Version>
金利=0.5%(変動)
月額住宅ローン返済額=7万7000円(返済負担率23%)
返済期間35年の場合の借り入れ可能額=2966万円
返済期間30年の場合の借り入れ可能額=2573万円
月額住宅ローン返済額=10万円(返済負担率30%)
返済期間35年の場合の借り入れ可能額=3852万円
返済期間30年の場合の借り入れ可能額=3342万円
金利別詳細シミュレーションの結果からは、年収400万円の方が 金融機関の審査を通る返済負担率前提の場合、住宅ローンを利用する場合には下記価格のマイホーム物件が購入可能であることがわかりました。
返済期間35年で 最大3852万円 負担平均2324万円
返済期間30年で 最大3342万円 負担平均2086万円
(3)注意すべきこと ー年収400万のマイホーム選びでー
先の金利別の詳細シミュレーションで、マイホームを購入する場合、借入可能な物件の価格帯は、年収400万の方は、3852万円~2086万円程度と試算しました。
ここで注意すべき点は
- もし低金利の変動金利を選ぶのであれば、繰り上げ返済で早期完済を目指すこと。
- もし長期の借り入れ(たとえば35年)であれば、可能な限り固定金利を選択すること。
をおすすめします。
400万円年収の方が、もし頑張って月々の負担率の高い月額返済額に対応した場合、変動金利においては、今は超低金利時代ですが、今後の急激な金利上昇が生じた場合はおそらく、長期にわたっては、その返済には耐えられない可能性があるためです。
いかがでしたでしょうか。
年収400万の方のマイホーム選びと称して、詳細解説してきました。
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