コロナによって建築工事が遅れてリスケなど、住宅ローン減税の要件をクリアできなくなるのではないかと心配している人が多く出ています。しかし条件さえそろえば、減税を適用できます。コロナの影響で入居が遅延しても住宅ローン減税延長を適用する方法について説明します。
住宅ローンの減税措置の特例とは
基本的な住宅ローンの減税と特例について説明します。
①住宅ローンの減税措置とは
基本的な減税措置
国土交通省のページを参考に作成
住宅ローンを契約している場合に年末の住宅ローン残高の1%を所得税や住民税から控除する制度が住宅ローンの減税措置です。
例えば住宅ローンの残高が3,400万円の場合は、1%に当たる34万円が所得税などの税金から引かれます。
ただし住宅ローンの残額は4,000万円以下とします。残高が4,000万円以上の場合は、減税額は一律40万円です。
※ただし、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合はローン残高の上限が5000万円以下です。つまり減税額が最高50万円。
②減税措置が延長される場合
基本的には、この減税制度を適用するのは10年間です。
しかし令和元年に消費税が10%に上がったため、消費税10%で購入した住宅に限って、控除期間を3年の延長をし、13年とします。
つまり消費税2%分を返却することが目的です。
この特例を受けられる条件は、令和元年10月1日から令和2年12月31日の期間に住宅に住み始めることです。
③11年目以降の計算方法
11年目以降は計算方法が異なります。
次の2つの数値のうち大きい方を採用します。
建物購入価格は住宅ローンの残高と同様に最大4,000万円ですから、たとえ7,000万円で購入したとしても4000万円の2%を3で割った数値となりますので注意が必要です。
- 住宅ローンの年末残高の1%
- 建物購入価格の2%を3で割ったもの(3年延長のため)
住宅ローンの減税措置の特例がコロナで受けられない?
住宅ローンの減税措置が消費税引き上げたため、今まで10年間でしたが13年に延長しました。
しかし、この恩恵を受けられるのは前述したように、令和元年10月1日から令和2年12月31日の期間に住宅に住み始めるということです。
ところがコロナの影響で工事が長引き、令和元年10月1日から令和2年12月31日の期間中に住み始めることが困難になった人が続出しました。
そのため、コロナが原因で入居できなかった人たちのために特別に住宅ローンの減税措置を運用できるようなシステムが取り入れられています。
取得の日から6カ月の期間が過ぎても入居できない場合も、条件がそろえば問題ありません。
①住宅ローン減税延長措置を受けるために必要な要件
- 契約日が次の日付前であること
・ 新築の注文住宅:令和2年9月末
・ 分譲住宅または既存住宅の場合は増改築等が必要な場合:令和2年11 月末
- 新型コロナウイルス感染症が原因、または感染が広がらないために実施されたことの影響で、契約し取得した住居に入居ができなかったことが証明される場合
②入居はいつまでにしなくてはならないのか
令和3年12月31日
③新型コロナウイルスが原因で入居が遅れたことの証明方法
「入居時期に関する申告書兼証明書」が必要です。
書式は、国土交通省の公式サイトまたは国税庁の公式サイトでをダウンロードできます。
ダウンロードした書式に必要事項を記入する欄を埋めて確定申告の際に提出します。
書類には契約事業者の署名と捺印が必要です。契約事業者の署名捺印が受け取れない場合は、申告者によって署名捺印も可能。
④なぜ入居が遅れてしまったか:理由の書き方
遅延した理由としては次のようなことを書けば、コロナウイルスが原因で入居できなかった事例として認められます。
・増改築の事業者がコロナのために営業を自粛していたため、打ち合わせができず遅延してしまった
・コロナが原因で工事事業者が着工できず、工事が長引いてしまった
・コロナによって流通がスムーズではなく、必要な建築資材やトイレや風呂などの設備機器が納入されるまでに時間がかかった
・増改築をしている間に、借りている住居を利用していたが、コロナウイルスの様子を見て引っ越す時期を遅らせていた
⑤住宅ローンの減税を受けるために
新型コロナウイルスが原因で遅れた場合も、本来の場合と同様に確定申告をすることで適用されます。
新居に入居した年の次の年に確定申告をしなくてはいけません。令和3年に入居する場合は、令和4年です。
以下が確定申告に必要なものです。
- 入居時期に関する申告書兼証明書
- 住居に関する契約をした年月日がわかる書類
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住民票の写し
- 住宅ローンの「年末残高証明書」
- 建物・土地の登記事項証明書
- 確定申告書
時間は十分にあるので落ち着いて必要書類を用意しましょう。わからない場合は所轄の税務署に問い合わせてください。
コロナの影響で大手銀行が金利を引き下げる傾向です。
またこれからも政府によって減税措置や住宅ローン減免などが討議されている最中です。
例えば個人事業主などで新型コロナウイルスが原因で収入が激減した場合などに、住宅ローンを免除することなどが議論されています。
これからどのような対策が取られるのか注目したいところです。
参考:新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた住宅ローン減税の適用要件の弾力化について(Q&A)(国土交通省)
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