持ち家と賃貸の支払金額の内訳を比較
結論から先に述べます。
都心や都市部の資産性が維持されるであろうエリアを選びある程度の期間住める場合は賃貸よりも持ち家の方がお得になります。
以下、詳しく説明していきます。
持ち家と賃貸を比較する際に、自分が払うお金の内訳について考えたことはありますか?持ち家の返済額と賃貸の家賃では、「価値」が違います。
家賃と持ち家の返済額内訳は以下の通りです。
家賃…全て家主への支出(費用)
持ち家の返済…家の代金へ充当+利息
持ち家の返済額の内訳は、家の代金に充てる分と利息に分かれますが、
家賃は全て家主への支出です。
どう言うことかと言うと、賃貸の家賃は自分の資産になりませんが、持ち家の返済で支払った額の大部分は、自分の資産(不動産)へ充てられます。
以下の図は、Aさん(賃貸)とBさん(持ち家)の支払い内訳を示したものです。
賃貸の家賃を15万円支払っているA氏と、持ち家の返済15万円を(利息5万円、住居への返済10万円)支払っているB氏がいるとします。A氏は何年支払い続けても自分の資産は増えませんが、B氏は毎月利息を差し引いた額を持ち家の返済に充てている為、支払った金額は自分の資産へ充てられるのです。
持ち家と賃貸を比較する時に多いのは、住居の返済、税金など持ち家でかかる全ての額と、家賃や更新料などを数十年間支払い続けた賃貸の総額のみを比較する方法です。しかし、自分が支払った金額の内訳をよく考えることで、持ち家と賃貸を比較した時に、持ち家が価値があることがわかります。
それでは次に、実際に概算で持ち家と賃貸を比較しましょう。
持ち家と賃貸の総支出額を概算して比較
持ち家と賃貸、数十年後に有利になる方を概算で確認する際の要点は、以下です。
要点①現在の金利相場と近い数値を使用する
要点②持ち家の資産評価が減少することを考慮する
持ち家の概算をする場合、金利を考慮する必要がありますが、今回金利の計算方法は元利金均等返済とします。
元利金均等返済の特徴は、毎月返済する額が均等になるように計算されることです。
元本が多く残っている初めの頃は、返済額のうち利息の割合が多く、元本が減っていけば元本の支払額の割合が増えていく仕組みとなります。
元利金等返済の仕組み(毎月15万円支払う場合)
それでは、先ほどご紹介した2つの要点を考慮して、持ち家と賃貸の概算で比較してみます。
以下の表Aは、マンションを頭金500万円、借入額3,500万円、総額4,000万円で購入した場合の概算です。
表A 持ち家の場合の35年間の住居費総額
条件
住宅ローン金利1%、返済年数30年、元利金等返済3,500万円借入
諸費用は住宅のの4%、修繕積立金等2万円/月
固定資産税・都市計画税平均15万円/年
そして、以下の表Bは、35年後に上記の持ち家を手放す際、持ち家の資産価値が新築時の40%の時の、実質の住居費総額を概算したものです。実質の住居費総額とは、表Aで試算した⑦35年間持ち家へ支払った総額から、持ち家を手放す際の費用を引いた額です。つまり、持ち家にかかる費用の総額です。
表B 35年後の資産価値
表Bの11からわかる通り、35年後に売却するまでに実際にかかる費用は3,361万円です。それでは次に、表Cをご覧ください。
表C 賃貸に住み続けた場合の40年間の住居費総額
条件
入居の際に家賃3ヶ月分(敷金、礼金、仲介手数料各1ヶ月分)
2年に一度更新料1ヶ月
10年に一度引越し代1回あたり30万円
表Bの11と表Cの住居費総額を比較してください。
賃貸が持ち家よりも有利になるには、家賃10万円以下の物件を探す必要があります。しかし、4,000万円のマンションと同じクオリティの物件を家賃10万円以下で探すことは、かなり難しいですよね。
要するに、賃貸が持ち家よりも有利になるには、賃貸の条件を下げる必要があります。
補足:低金利が持ち家購入に与える影響について
現在はマイナス金利政策の影響もあり住宅ローンが「超低金利」です。低金利であることは、持ち家を検討している方にとって大きく影響します。
以下の表Dをご覧ください。表Dは、元利金等返済で3,500万円借入た際の、借入元本に対する利息の割合です。
表D
条件
返済年数30年、元利金等返済3,500万円借入
金利1%の場合、利息の割合は15.8%ですが、もしも金利が3%になった場合、利息の割合は51.8%に膨れ上がります。低金利がいかに住宅ローンに影響しているかご理解頂けますね。
住宅ローンを組む際は、金利をよく考慮してくださいね。
まとめ
今回は持ち家と賃貸を比較し、徹底解説しました。まとめると、以下の理由から持ち家が賃貸よりもおすすめです。
・賃貸の家賃は全て経費だが、持ち家返済額の大部分は自分の資産になるから
・持ち家を売却する際、資産価値が下がることを考慮しても、賃貸で同等の物件を探すことは難しいから
・低金利で利息を低く抑えられる為
持ち家と賃貸を比較する際は、単純に支出額を計算するだけでなく、金利、将来の不動産価値なども考慮した上で検討してくださいね。