賃貸住宅と持ち家の比率は?数字でわかる私たちの住宅事情

持ち家にするか、賃貸住宅のままでいいと思うかはよく論議される話題です。今回は総務省や国土交通省が行なっている日本における持ち家と賃貸住宅の比率の統計を見ながら、状況を分析します。このようなデータを分析することで、将来に向けて持ち家を購入すべきかどうかを考えていきましょう。

この記事はFlatwork株式会社が監修しております。(リビングキャンプ運営)

東京都知事から認可を受け正式に宅建業免許を取得しています。<免許番号>東京都知事認可(1)第104151

実際にマイホームの仲介業務をしているので現場のリアルな情報をお届けしていきます。

持ち家比率の推移

 

 

持ち家比率とは、住宅のうちに占める持ち家数の割合です。

 

総務省統計局が出しているデータで、持ち家数を全戸数で割って算出します。

 

2003年(平成15年)61.2%、 2008年(平成20年) 61.1%、2013年(平成25年)61.7%、2018年(平成30年)61.2%とほぼ6割の人が持ち家に住んでいる状況で、横ばい状態が続いています。

 

 

しかし世代別の持ち家比率を見ると、30歳未満と30代、40代では下がっています。特に30代は、1983年(昭和58年)に53.3%だったものが2018年には39.0%まで下がっています。

 

とはいえ、国土交通省のデータで、住宅を取得した世帯主の年齢を見ると分譲マンションの場合、60.0%が30代で、その他の分譲戸建てや中古住宅などに関しても30代の購入が他の世代より多いことがわかっています。

 

また東京圏に限った統計では、30代、20代の持ち家比率が1998年(平成10年)のころより上昇傾向にあります。

 

これは分譲マンションの資産価値が落ちにくいことなどから、将来賃貸に出すなど投資目的もあるからでしょう。

出典:「平成30年度住宅市場動向調査報告書」国土交通省 住宅局

   

持ち家の比率が下がる要因は

 

持ち家比率が下がる原因はさまざまです。

 

住宅価格が上がったり下がったりすると影響がありそうですが、下がったから購入が増えるというわけではありません。

 

住宅の価格は、経済にも深く関わっているため、住宅の価格が上昇傾向にある場合、経済的にも潤っていることが多いためです。

 

①将来への不安

 

まず第一の要因は将来的な不安なのではないかと考えられます。

 

国土交通省の調査をまとめた「人の住まい方」によると「住宅を所有したい」と思っている人の割合が「借家で構わない」と思っている人よりもはるかに多い傾向です。

 

年齢別に見ると、特に30代と60代では「住宅を所有したい」という人が70%前後で「借家で構わない」という人の18%をはるかに上回っています。

 

20代でも56.4%の人が「住宅を所有したい」と言っています。

 

このように持ち家を買いたいという気持ちは、全体に多数の意見であることがわかります。気持ちとしては買いたいと思いながら、買えない状況があるのではないでしょうか。

 

②晩婚化

 

住宅を購入するきっかけは、結婚、子どもの誕生などが主でした。

 

しかし、昨今では結婚が遅くなり、子どもの誕生はさらに遅くなってきました。それだけではなく、結婚をしない人も増えてきている状態です。

 

内閣府の「婚姻率の推移」によると初婚年齢も少しずつ上がっています。

 

 

また未婚率を見てもかなり大きいことがわかります。2015年(平成27年)時点で30〜34歳の場合、男性の47.1%、女性の34.6%が独身です。

 

つまり男性は2人に1人、女性は3人に1人が結婚していないということです。

 

住宅を所有したいかどうかの調査は、単身者と既婚者に分けたデータも掲載されています。30代の場合、単身者は45.8%ですが、既婚者は69.9%が「住宅を所有したい」という結果が出ました。

 

総合すると単身者は49.1%、既婚者は63.9%が持ち家にしたいと考えています。このことから考えると、持ち家の比率が下がった背景としては結婚しない人が増えてきたことが影響しているようです。

 

出典:平成29年版 少子化社会対策白書(内閣府)

 

③隣人との関係が心配

 

隣人とのトラブルがあった場合、賃貸なら引っ越せばよいが持ち家の場合、ずっと住み続けなくてはいけないことが不安な人も多いようです。

 

特に新築の場合はどんな人が隣人になるかわからないので、積極的な購入にはならない傾向です。

 

④賃貸住宅のグレードアップ

 

21世紀に入ってから賃貸住宅のレベルが、外観などデザインだけではなく、設備も分譲並みに上がってきました。そのため、わざわざ持ち家に住む理由があるのかと思う人が増え多としても不思議ではありません。

 

それでも持ち家を欲しい!

 

持ち家の比率が下がっており、特に30代~50代の場合に下がり方が顕著です。しかし、実際には持ち家を欲しいと思っている人は実際にはかなり多い傾向です。

 

国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」によると単身者でも半数近くが持ち家にしたいと考えています。借家でも構わないと答えた人は、15%に満たない割合でした。

 

その理由は以下です。

 

「住宅は資産価値を有するものだから」

「家賃よりローンを払う方がよいから」

 

単身世帯と全体世帯で共通して比率の高い理由でした。経済的なことがやはり住宅を所有する最大の理由です。

 

異なる点は、単身者は、「借家では生活が不安定で満足できない」が、一方既婚者では「子どもや家族に住宅を残したい」が多いという結果が出ました。単身者の場合、生活への不安から形のあるものが欲しいという気持ちがあるようです。

 

実際にライフプランを具体的に立てると、持ち家である方が老後の生活に安心感があります。それは高齢者の場合、賃貸を借りにくくなること、賃貸なら一生賃料を支払い続ける必要がありますが、完済すれば住宅は維持費のみになります。

 

実際に新聞などで老後に生活ができなくなった人の記事を読むと家賃が払えなくなったというものが多い傾向です。

 

少しずつですが単身者による持ち家購入が増えており、意識の変化が起きればまた持ち家率が上がっていくのではないでしょうか。

出典:「土地問題に関する国民の意識調査」

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